2008年2月26日、シノプシスは、新しいローパワー設計/検証ソリューション「Eclypse」を発表した。
プレスリリース:http://www.synopsys.co.jp/pressrelease/2008/20080226.html
今回発表された「Eclypse」は、シノプシスの提供するローパワー設計に対応したツールの総称とも表現できるもので、太陽と月と地球が一直線に並ぶ「日食=Eclypse」に由来するその名称が示すように、ローパワー設計/検証のフローを上流設計からインプリメントまで抜け無く一直線でカバーされている。
具体的には、ESLツール「Innovator」、検証ツール「VCS+MVSIM」、「HSIM」、インプリメントツール「Design Compiler」、「Power Compiler」、「IC Compiler」、DFTツール「DFT MAX」、サインオフツール「MVRC」、「Formality」、「PrimeTime PX」、「PrimeRail」という豊富なツール群に加え、設計IP「DesignWare」、設計メソドロジ「LPMM」、セミナーやコンサルティング等の各種サービスで構成されており、「HSIM」と「PrimeRail」を除く全てのツールがLowPowerフォーマット「UPF」をサポート。あらゆる設計フェーズに対しデザインに最適なローパワー設計テクニックを提供する事ができる。
「Eclypse」という名の下に統合されたシノプシスのローパワー設計/検証ソリューションの特徴は、その包括的なツールチェーンの他に、ESLにも対応している点やローパワー設計向けの設計IPが含まれている点、インプリメントだけでなくローパワー設計の検証技術も含まれている点などが挙げられ、書籍の出版(LPMM)やセミナー開催、オンライン・コミュニティの創設など対ユーザー向けの積極的なマーケティング活動も目に付く。
シノプシス米国本社のGeorge Zafiropoulos氏(ソリューション・マーケテング VP)の説明によると、シノプシスは「Eclypse」の発表に伴い、新たに複数のローパワー設計技術をツールに実装。代表的なところでは、低電力化に向けたクロック・ツリーの自動生成機能や配置機能(Design Compiler UltraおよびIC Compiler)、パワー・ゲーティング用のスイッチ数(レジスタ数)の自動最適化機能(IC Compiler)、「Power bug」検出用のアサーション自動挿入及びカバレッジ・レポート機能(MVSIM)などがあり、これらは全て業界唯一のローパワー設計技術だという。
George Zafiropoulos氏は、「現在、アドバンスド・ユーザーが実践しているダイナミック電圧/周波数スケーリング(DVFS)などの最先端のローパワー設計技術が2009年にはメインストリームとなるだろう。」とした上で如何にそれら技術を使いこなし、如何にそれらデザインを検証するか? その重要性を強調。「困難な検証も含めローパワー設計について、あらゆるフェーズ、あらゆるレベルのニーズに広範囲に応える事が出来るのはEclypseだけ」と語った。
尚、シノプシスは、この2月から世界各地で「Eclypse Low Power Seminar」をスタート。初回開催は東京で今月28日に開催予定のセミナーは、申込み受付を開始した当日に満席になってしまったという。(定員250名)
ちなみに、George Zafiropoulos氏に訪ねたところ、昨年Springer社から発売された「Low Power Methodology Manual」の販売数は既に1000部到達。Webサイトからのドキュメントのダウンロード数は3000?4000件に達しているとの事。「Low Power Methodology Manual」については、現在、日本語版の製作も進められていると聞いた。
※日本シノプシス株式会社
http://www.synopsys.co.jp
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