2007年11月16日、ルネサステクノロジは、みなとみらいのホテルで開催された仏EVE社のセミナーにて、携帯電話用SoC「SH-Mobile G3」の開発における、EVE社製エミュレータの活用事例を紹介した。
事例を発表したルネサスの服部俊洋氏(ルネサステクノロジ システムコア技術統括部CPU開発第一部 部長)によると、携帯電話の製品開発に合わせ年1回のペースでリリースしている「SH-Mobile Gシリーズ」は、メディアプロセッサとベースバンドをワンチップ化したSoCで、シリーズ最初の製品「G1」で約1億8000万トランジスタというチップ規模。今年11月末に「G2」がリリースされ、既に次期製品「G3」のサンプルが出荷されている。
ルネサスでは、これまでG1、G2と完成したデザインをシミュレーターベースの環境で検証してきたが、短い開発期間での工数的な問題と、最終的なシステムの性能はソフトウェアを流さないと分からないという点から、G3の開発においてEVEのエミュレータ「ZeBu-XL」を適用。エミュレーション環境を1日で立ち上げたいというニーズに対し、コンパイラベースでデザインの分割やタイミング調整を自動処理可能な「ZeBu-XL」がマッチしたほか、廉価版のFPGAプロトタイプボードでは対応が難しい大規模デザインへの対応や、トランザクタを用いて外部モデルと連動できる(エミュレーターでは難しい)点を高く評価し、「ZeBu-XL」をシステムの最終検証の一部として使用する事に決定した。
今回、G3の開発において実際に「ZeBu-XL」を使用したのは、2?3月以降8月(サンプル出荷)までの半年足らずで、ICE接続によるOSの早期立ち上げ、内部ブートROMのソフトウェア検証の高速化、WCDMA通信プロトコル検証の高速化の3つを実施。一部デザインの書き換えなどが必要ではあったが、周波数2.5Mhzで「ZeBu-XL」を動かす事に成功したという。
服部氏は、今後は「ZeBu-XL」から「ZeBu-XXL」へとエミュレーション環境をバージョンアップし、トランザクタを用いて20Mゲート近いシステム全体の検証へとその適用範囲を拡大する予定で、「ZeBu-XXL」を電源遮断や周波数変換などのケースで起きる従来手法(シミュレーション)では検出できないコーナーケースのバグ出しにも活用していきたいと語っていた。
ちなみに、今回の「ZeBu-XL」の適用例では、10Mゲートのデザインのコンパイルに約8時間要したとの事で、服部氏はコンパイル速度の更なる高速化をEVEに対して要求していた。
※「ZeBu-XL」および「ZeBu-XXL」に関する詳細は、日本イヴ株式会社にお問い合わせ下さい。
http://www.eve-japan.co.jp
※株式会社ルネサステクノロジ
http://japan.renesas.com
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