2007年11月6日、ESLツール大手のコーウェアは、ESLの採用を加速する次世代ソリューションを発表した。
プレスリリース:http://www.coware.co.jp/news/2007/2007.11.05.html
今回コーウェアが発表したのは、第2世代のESL技術とも呼べる「ESL2.0」に対応した新しいESLソリューションで、これまでコンセプトの実証フェーズにあったESL技術を標準的な実用フェーズへと大きく拡張するもの。具体的には今月末に一斉バージョンアップされる同社最新のESL製品群を差しているが、コーウェアは個々の製品機能よりも、それら包括的なESLソリューションによって、プロセッサ/ソフトウェア志向のプラットフォーム開発が大きく革新されると主張する。
コーウェアの記者発表に参加したコーウェア米国本社、マーケティング・ディレクタのMarc Serughetti氏は、「2007年、SoCソフト開発コストがハード開発コストを上回る」という米国EDAアナリストGary Smith氏の予測を挙げ、ソフトウェア開発の効率化手段の重要性を指摘すると同時に、単一のアプリケーション・システムからマルチ・アプリケーション・システムへと移り変わる設計に対処するためには、従来のRTL設計手法に代わるESL手法が必要であると強調。これまでのESL手法は実用化に向けた「コンセプトの証明」フェーズにあったが、その技術の成熟によって、これからはESL手法が製品設計に広く活用される「ESL2.0」の時代になると語った。
今回のコーウェアの発表は、ある意味「ESL2.0と呼べる新たなESLソリューションが準備出来た」というアナウンスと言えるが、具体的な製品のバージョンアップ内容を見てみると、まず基幹製品である「CoWare Platform Architect」のモデリング能力が大幅に向上。自動テストベンチ生成機能を搭載した「SystemC Component Wizard」、インターコネクト設定を簡略化する「Bus Library Wizard」、トランザクタの自動挿入を行う「Easy Connect」、新規SystemCデバッガなどが追加され、マルチコア・プラットフォームのモデリングにおけるその生産性は10倍を実現。1ヶ月を要するバスの結線作業も瞬時に終える事が可能となった。
また、「CoWare Virtual Platform」は、シミュレーション速度が最大2倍に向上されたほか、解析機能の「Virtual Platform Analyzer」も拡張され、メモリ・マップ表示や詳細なソフトウェア解析が可能となった。ちなみに、記者発表では、「CoWare Virtual Platform」のデモとして、動画を実速度より速く動かすという、100MIPSを超える超高速シミュレーションが披露された。
更に、「CoWare Processor Designer」にも新機能が施され、合成されるカスタムプロセッサの品質アップ(消費電力を50%削減、30%の性能向上)を実現。新規プロセッサモデル、バスモデルを中心に「CoWare IP Model Library」のラインナップも大幅に拡大され、「CoWare Signal Processing Designer」にはSuoer3G(LTE)ワイヤレス・ライブラリも追加された。
コーウェアは、「ESL2.0」を設計現場の新たな要求に対するESLの進化系と捉えており、それを実現する同社最新のESLツールは、今後アーリーアダプターからアーリーマジョリティへとユーザー層が移行し、より大きな設計チームで実製品の設計向けに活用されるようになり、製品の市場投入戦略の上でも大きな効果をもたらすとしている。
※アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)、アーリーマジョリティ(Early Majority:初期追随者)いずれもマーケティング用語
尚、コーウェアの各ESL製品の最新バージョンは、11月末に一斉リリースの予定で、11月30日には都内のホテルでコーウェアユーザーの技術セミナー「J-CING 2007」が開催される予定。
※コーウェア製品の最新バージョンに関する詳細は、コーウェア株式会社にお問い合わせ下さい。
http://www.coware.co.jp
※J-CING 2007 イベント案内ページ
http://www.coware.co.jp/J-CING/index2.html
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