2007年9月7日、メンター・グラフィックスは、品川の東京コンファレンスセンターにて世界各地、計18都市で開催されている恒例の「EDA Tech Forum 2007(東京)」を開催。設計者を中心に1000人近い参加者を集めた。
EDA Tech Forum関連ページ:http://www.edatechforum.jp/
今年の「EDA Tech Forum」で割と大きな比重を占めていたのは、各種「機能検証」関連のセッションで、メンター主力の「Calibre」関連に次ぐ計5種類のセッションが行われた。その中の一つ、「Verification Strategy」と題されたセッションでは、アサーションベース検証のパイオニアで、OVL(Open Verification Library)の開発者でもあるメンター所属の検証の専門家Harry D. Foster氏が「検証のマネジメント」について語った。
Foster氏はまず初めに、ムーアの法則に対して検証が大きなボトルネックになっている事、すなわち設計規模が拡大する一方で未だに90年代の検証手法が主流となっている事を指摘し、検証効率・検証手法を向上させるためには、「組織として検証チームの能力をどう高めていくか?」をしっかりと考える必要があると主張。チームの能力に合わせて段階的にスキル、トレーニング、インフラを考えねばならないとした上で、その具体的な指標として「Verification Capability Maturity Model」を示した。(※画像参照)
「Verification Capability Maturity Model」は、ソフトウェア開発におけるプロセス改善のための指標として有名な「CMM(capability maturity model)」をベースに考案された検証能力を客観的に表すモデルで、検証能力を5つのレベルに分け各レベルで持つべきプロセス/検証能力を以下のように規定している。
レベル1:
論理シミュレーターを用いたダイレクトテストがベースのレベル。アドホック的にシミュレーションでアサーションを併用。
レベル2:
テストプランを作成/レビューし、ダイレクトテストに加えてランダムテストも実行。更に、リントチェックやアサーションベースのシミュレーションも行い、レベル1よりも検証の予測性が改善されている。
レベル3:
検証プロセスをしっかりと定義した上で、制約付ランダム検証やカバレッジドリブン検証を実行。更にクロックドメインチェックやアサーションベースのフォーマル検証も活用し機能カバレッジをおさえている。レベル2よりもスケジュールと検証品質が改善されている。
レベル4:
一通りの検証プロセスを全て踏襲し、OVMなどトランザクションレベルのテストベンチや先進的なフォーマル検証、各種検証IPなども活用。検証のトレーサビリティが確保されており、レベル3よりも更に検証クオリティが高い。
レベル5:
各検証プロセスの最適化に注力しているレベルで、継続的に検証プロセスのチェック/リファインが行われ、レベル4以上に検証スケジュールの改善が図られている。
Foster氏は講演の中で、「例えば、PCI-Expressのフォーマル検証はレベル4でないと実現できない。レベル1?2のユーザーがそれを望んでも私は決して薦めない。」と語り、自らの検証スキルを認識し段階的にスキルアップを目指す事の重要性を強調。フォーマル検証の権威でもある同氏は、フォーマル検証の導入はレベル3からで「その前のプロセスをしっかりと抑えなければ新たな手法は活かされない」と釘を差した。
※メンター・グラフィックス・ジャパン株式会社
http://www.mentorg.co.jp
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