2005年11月16日、ソリトンシステムズは、「C言語高位合成ツール実践セミナー」を開催し、米YXI社の動作合成ツール「eXCite」の最新事例とロードマップを発表した。
「eXCite」は、ANSI-Cまたは独自の拡張言語HY-Cを入力とする動作合成ツール。市販の動作合成ツールの中でも老舗といえる製品で、CからRTL(VHDL/Verilog)そしてプロトタイプボードまでの設計フローを統一した形でサポートしており、Altera社のNiosを用いたFPGAベースのSoC設計にも対応している。
マイナーバージョンアップを繰り返し、「2?3年前に比べるとかなり使えるレベルなった。」(ソリトンシステムズ:木下氏)というeXCiteは、既に国内における販売実績は50シートを超えているという。
発表された事例は2件で、1つは約2000行の画像処理アルゴリズムの合成例。ルネサステクノロジ、野中義弘氏(設計技術統括部、システム設計技術開発部)の発表によると、入力モデルHY-Cの記述修正(最適化)と合成結果のRTLを一部修正する事により、回路規模は対人手設計1.1倍、パスディレイはほぼ同等、記述量はRTL記述の30%程度という結果を得たとの事で、「元のC記述にI/F部の記述を書き加える必要が有ったが、動作合成の試行にあたり設定したターゲットはクリアできた。」と野中氏は語った。
野中氏の示した試行ターゲットは以下の4つ。
■回路規模、パスディレイは対人手設計RTL相当
■人手設計RTLを検証した環境で不一致が発生しないこと
■人手設計RTLとスループット、レイテンシが一致すること
■HY-C設計がRTL設計よりも工数が少ないこと
発表されたもう一つの事例は、名古屋大学の本田晋也氏(情報連携基盤センター:NEXCESS)による、「SystemBuilder」を用いたJPEGデコーダの合成事例。
「SystemBuilder」は、2003年度IPA未踏ソフトウェア事業として開発されたANSI-CからのFPGA設計環境で、内部の動作合成部分はeXCiteが組み込まれている。
同システムは仕様から分割された、ソフトウェア部とハードウェア部のインタフェースを自動合成することが可能で、C言語のTLM記述からソフトおよびハードをそれぞれ合成しFPGAに実装することができる。
その他、同システムは、Cレベルのシミュレーションモデルの生成や、HDLシミュレータを用いたソフトとハードのコシミュレーション、ソフトウェア・ハードウェアの分割容易に指定する事が可能で、「JPEGデコーダの各機能を様々なパターンで容易に合成・検証することができ、1人の設計者でおよそ半日で実機での性能評価を完了した。」と本田氏は語った。
合成結果は、それぞれの機能を単体でハードに合成した場合、平均約10倍の高速化を実現。しかし、ハフマン圧縮のみをソフトとして残したところ、JPEG全体で約2倍の高速化に留まり、ソフトの部分がボトルネックになる事が分かったという。
※後にソリトンシステムズがハフマン圧縮も含めてハード化したところ、10倍程度の高速化が実現できたとしている。
尚、セミナー最後にはソリトンシステムズより、eXCiteのロードマップが発表された。その概要は以下の通り。
■eXCite バージョン3.1のリリース 2005年12月上旬(予定)
主なバージョンアップ項目
?Verilog用テストベンチの生成
?Verilog2001の出力対応
?Linuxサポート
■eXCite バージョン4.0のリリース 2006年前半(予定)
主な特徴
?C⇔RTLデバッグ環境のサポート
?GUIからのレイテンシ制御
?HY-C言語のサポート
?新階層合成
■eXCite FPGA(新パッケージ)のリリース 2005年12月(予定)
主な特徴
?eXCiteのFPGA限定版
?動作環境:WinXP
?ノードロックライセンス
?価格:半年タームライセンスで200万円?(予定)
※eXCiteに関する概要はこちら http://www.eda-express.com/catalog/?m=comp&cn=1950
※eXCiteに関する詳細は、ソリトンシステムズまでお問い合わせ下さい。http://www.soliton.co.jp/
※2005年11月18日:記事中の誤植を一部修正し、追記致しました。
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