2005年11月17日、STARC(?半導体理工学研究センター)は、パシフィコ横浜で開催された組み込み総合展示会ET2005にて、推進中の「高位合成メソドロジ」プログラムについての発表を行なった。
STARCは、これまで国の助成プロジェクト「あすかプロジェクト」に取り組んできたが、2005年度をもってプロジェクトが終了する。
2006年度からは、SNCC2(第2次半導体新世紀委員会)によって、幾つかの新プログラムが開始される予定で、その中の一つ「高位設計メソドロジ」の構築を開始するにあたり、その中核をなす「高位合成メソドロジ」プロジェクトを2005年度から前倒しする形で進めている。
STARC開発第一部、メソドロジ開発室、高位設計活用チーム、チームリーダー、塩月八宏氏の発表によると、プロジェクトは「使える高位合成メソドロジ」を構築し、浸透/普及させ、現状のRTL設計以降のフローに繋げることをゴールとしており、同一条件による各高位合成ツールの評価作業と、その結果・特徴をまとめた実用におけるガイドラインの作成が進められているという。
実際に行なわれるツールの評価作業は、STARC、STARCクライント企業、EDAベンダの3者で行なわれ、大きく下記2つのステップに別れている。
【一次評価】
1.STARCのクライアント会社(大手半導体11社)から、高位合成評価用のデータや要望などを収集
2.STARCが評価指標および評価用のデータを作成
3.EDAベンダがSTARC作成の評価データを用いて製品評価を実施
4.STARCが評価結果を確認しクライアント会社にレポート
【二次評価】
1.一次評価の結果を元に、STARCが二次評価用データを作成
2.STARCが二次評価を実施
3.STARCが評価結果をもとに、高位合成ツールの適用に関するガイドラインを作成
4.STARCが高位合成ツール本体を除く、ガイドライン・評価データなどを「お試しキット」として、クライアント会社に提供
※EDAベンダはSTARCに対しツールの貸し出しや評価サポートを行なう
これら一連の評価作業は、検証の容易性、合成能力、合成制御性、記述性、現フロー整合性、ツール性能の計6種類の評価指標に従って行なわれ、STARCは、既に二次評価用データとして11種17個のデータを作成済みであるという。
STARCは、この一連のプロジェクトにより、高位合成を用いた設計メソドロジを確立すると同時に、クライアント企業各社でそれぞれ進められていた評価作業の負担を軽減し、各社の環境開発費用を削減することができるとし、更には、現状のRTLによるサインオフをより高いレベルに引き上げるインタフェースの統一も視野に入れている。
また、高位合成ツールを提供する各EDAベンダにとっても、マーケティング・営業上でのメリット(ユーザニーズの収集、拡販ポイントの明確化、ユーザ評価期間の短縮化など)や製品開発を進める上でのメリット(多様な評価データの取得、自社評価工数の削減など)など本プロジェクトの参加によってメリットが得られるとしている。
尚、発表されたこのプロジェクトは既に進行中で、2006年度からはSNCC2へ継承される予定で、評価作業によって得られた成果物のクライアント企業以外への提供については、今後の課題として検討を進めているという。
※プロジェクトに関する詳細はSTARCにお問い合わせ下さい。http://www.starc.jp
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