Synopsysがルネサスと共同でルネサス製マイコン向けのソフトウェア開発キットを開発
2012年8月2日、Synopsysはルネサス エレクトロニクスと共同でルネサス製マイコン向けのソフトウェア開発キットを開発する事を発表した。
発表によると両社が共同開発するソフトウェア開発キット「VDK(Virtualizer Development Kits)」は、Synopsysのバーチャル・プロトタイピング・ツール「Virtualizer」で使用する仮想ハードウェア環境で、ルネサスの次世代車載マイコン「RH850ファミリ」を始めとする各種マイコンをサポートする予定。開発は両社混合のチームによって開発される。
ルネサスの「RH850ファミリ」は、車載向けマイコンとして様々な自動車向けアプリケーションへの利用が期待されており、「RH850ファミリ」をサポートする「VDK」が完成すれば、各種車載アプリケーションのソフトウェア先行開発を実現する事が可能となる。
自動車メーカーは、バーチャル・プロトタイピング・ツールの有力なポテンシャル・ユーザーと言えるが、これまではモデルの供給・流通体制が整っておらず、ツールを使いたくてもモデルの用意など環境構築に手間取り、上手く使いこなせないという状況が続いていた。
Synopsysの提供する「VDK」はバーチャル・プロトタイピングの核となるマイコン・モデル他、ペリフェラル・モデルなど必要なモデル一式をキットとして供給するもので、これを利用すればユーザーは環境構築に手間取ること無くバーチャル・プロトタイプを用いたソフトウェア開発を実践できるようになる。また、これらキットがマイコン・ベンダとの共同開発で供給されるという点がモデルの信頼性という意味で非常に大きい。
Synopsysは既にARMの低消費電力化技術「big.LITTLE」向けのVDKや、ARM Cortex-A15 MPCoreベースのデザイン向けVDKを提供しており、今回発表されたルネサスのマイコン向けVDKのように順次VDKのラインナップを増やしていく戦略と思われる。
尚、ルネサス RH850マイコンのVDKは、2012年の第四4半期に提供が開始される予定との事。