AlteraがARM搭載の28nmFPGA「SoC FPGA」を発表-SW開発向け仮想環境も提供
2011年10月11日、Alteraは、ARMベースの28nmFPGA「SoC FPGA」ファミリを発表した。
発表によると「SoC FPGA」は、Alteraの28nmFPGA上にARM Cortex-A9 MPCoreプロセッサ、ECC付きメモリ・コントローラ、ペリフェラル、広帯域幅インタコネクトを搭載したシングル・チップで、低コストFPGA「Cyclone V」ベースと、AlteraのミッドレンジFPGA「Arria V」をベースにしたものの2品種が用意される。
「SoC FPGA」に搭載されるARMプロセッサは、デュアルコアで最大動作周波数は800MHz、様々な汎用ペリフェラルで構成されるプロセッサ・システムは、4000DMIPSのピーク性能を1.8ワット未満の消費電力で実現できる。また、このARMベースのプロセッサ・システムとFPGA部は、高スループット・データ・パスによって相互接続されており、データの一貫性を保ちながら125Gbpsを超えるピーク帯域幅を実現。プロセッサとFPGA部は別々に電源供給される仕組みとなっており、順番を問わずコンフィギュレーションおよび起動が可能で、稼働中にFPGA部をパワーダウンすることもできるという。
「SoC FPGA」の開発環境としては、FPGA部のハード設計は「Quartus II」、ARM上のソフト開発は既存の各種ARM開発環境、FPGAとARMベース・プロセッサ・システムの統合には「Qsys」を利用する事が可能で、「Qsys」ではARMの「AMBA AXI」インタフェースもサポートしている。更にAlteraは「SoC FPGA」向けのソフトウェア開発環境として、今回新たな開発ツール「SoC FPGA Virtual Target」を用意した。
「SoC FPGA Virtual Target」は、「SoC FPGA」の開発ボードを仮想化したソフトウェア開発向けのバーチャル・プラットフォームで、Synopsysのバーチャル・プロトタイピング・ソリューションをベースに開発されたもの。このバーチャル・プラットフォームには、ARM Cortex-A9 MPCoreプロセッサ、システム・ペリフェラル、DDR SDRAM、Flashメモリ、Virtual I/Oなど、各種コンポーネントのシミュレーション・モデルが用意されており、ソフトウェア開発者はPC上で動かせる仮想ボードとしてソフト開発に利用する事が可能。GNUツール、ARM RVDS、ARM Development Studio 5 (DS-5)、Lauterbach TRACE32Rデバッガ、Wind River Workbenchといった開発ツールをサポートしており、既存のソフトウェア開発環境を併用しながら実機ベースの開発よりも遥かに高度なシステムの可視性と制御性を手にする事ができる。
また、「SoC FPGA Virtual Target」には、「FPGAイン・ザ・ループ」と呼ばれるオプションの拡張機能が用意されており、「SoC FPGA Virtual Target」とFPGA開発ボードを接続することが可能で、プロセッサ・システムとユーザー自身がデザインしたFPGAベースIPの両方をターゲットにするアプリケーション・ソフトウェアを開発することもできる。
「SoC FPGA Virtual Target」は、当然ながら実機の「SoC FPGA」開発ボードと機能的に同等で、バイナリおよびレジスタの互換性を持つため「SoC FPGA Virtual Target」上で開発したソフトウェアは、容易に実機ボードに移行する事が可能。組込みOSとしてLinuxとVxWorksをサポートしている。
尚、「SoC FPGA」の出荷開始は2012年後半の予定で、米国内販売価格は15ドル未満から。「SoC FPGA」向けの新たな開発環境「SoC FPGA Virtual Target」は既に入手可能で、オプションの「FPGAイン・ザ・ループ拡張」は、来年初めから提供が開始される予定となっている。