SynopsysがSystemC TLMモデルのポータルサイト「TLM Central」をオープン
2011年9月29日、Synopsysは、SystemC TLMモデルのポータルサイト「TLM Central」のオープンを発表した。
発表によると開設されたWebサイト「TLM Central」のURLは以下の通り。
※画像はTLM CentralのTOPページのスクリーンショット
サイトにアクセスすればそのコンテンツは一目瞭然だが、「TLM Central」はSystemC TLMモデルの流通を促すオープンなポータルサイトで、サイトへのアクセスは完全に無料。名前、Eメールアドレスのみの簡単なユーザー登録をすれば、誰でもサイト上にTLMモデル及びモデル情報をアップロードしたり、無償モデルをダウンロードしたりできる。
(※ユーザー登録はFacebookのアカウントを利用することも可能。)
既にサイト上には670種に及ぶモデル情報が登録されており、利用者はそれらモデルをモデルの種類や抽象度、アプリケーション分野などから検索する事が可能で、立ち上げたSynopsys自身も有償/無償の多数のモデル情報をアップロードしている。有償モデルに関してはリンク情報から問い合わせを行う事が可能な仕組みとなっている。
またサイト上にはユーザー同士の交流を促すフォーラムも用意されており、欲しいモデルをリクエストする仕組みや、モデルに関するFAQコーナーもある。更にフォーラムを通じて、モデル作成やモデルを用いたバーチャル・プロトタイプに関する専門知識などを入手することも可能となっている。
※画像はSynopsys提供のデータ。TLM Centralの概要説明。
Synopsysによると「TLM Central」は、全てのTLMユーザーにオープンなインフラとして提供されるサイトで、サイトを通じた情報のやり取りはユーザー任せで完全に自由。仮に競合ベンダであっても自由に情報・モデルをアップロード可能で、その内容に関してSynopsysがチェックを行うような事は無い。
「TLM Central」は、言わば「TLM」に特化した課金システムの無い「Android Market」のようなもので、有償/無償を問わず誰もが開発したモデルをアップロード可能。モデル利用者は多数のモデル情報の中からニーズにあったモデルを探すことができ、モデル開発者は「TLM Central」を通じて無償モデルを提供し、有償モデルの販売に結びつけるなどジネスの場としても利用できる。
このようなサイトが生まれる背景としては、昨今、ソフトウェア開発を主たる目的としたバーチャル・プラットフォームの利用ニーズの増加があり、バーチャル・プラットフォームの作成・実行環境の大きなシェアを握るSynopsysとしては、オープンなモデル流通インフラを作る事で、ユーザーやサードパーティーによる「利用可能なTLMモデルの流通」を活性化したいという狙いがある。バーチャル・プラットフォームを利用する上で必要不可欠な各種モデルをEDAベンダ1社で全て用意する事は事実上不可能だからだ。
また、バーチャル・プラットフォームのユーザーは、その利用価値の高さを認識しつつも、モデルの用意で苦労するケースも多く、このようなサイトの登場によって、単なる情報入手だけではなく、モデル入手の機会やエンジニア同士のコミュニケーションの機会が増えることは非常に嬉しいはずで、EDAベンダやIPベンダのメリットだけではなく、ユーザーのニーズにも呼応するインフラとして「TLM Central」の存在意義は高い。
SystemCの利用では依然世界をリードしていると言える日本のエンジニア達にも、サイトを通じたモデル流通、情報発信、コミュニケーションに積極的に参加して頂き、TLMを取り巻くエコシステムを盛り上げて頂きたい。
尚、開設された「TLM Central」に対して、早速下記の関係各社が賛同のコメントを寄せている。
・ARM
・Arteris
・Carbon Design Systems
・CEVA
・National Chip Implementation Center
・Doulos
・Forte Design Systems
・HCL Technology
・hdLab
・Imperas
・ITRI
・Kasura
・MIPS
・OCP-IP
・OSCI
・RICOH
・RWTH Aachen University
・SONICS
・Synopsys
・Tensilica
・TI
・Vayavya Technology
・VLSI Test Lab
・VDC Research
・Vivante