【EDSF2011】システムLSI設計の今後-22nm時代に向けて-ばらつき対策
パシフィコ横浜で開催中のElectronic Design and Solution Fair 2011のレポート。
初日の1月27日、会場内の特設ステージで「システムLSI設計の今後-22nm時代に向けて-」と題したパネル・ディスカッションが行われた。
同セッションでは、22nm時代に向けた設計課題として、ばらつき、低電力、信頼性の3つを取り上げ、3人のパネリストがそれぞれにその重要性と対策を語った。
ここでは、ばらつきの重要性と対策に関する京都大学佐藤教授の話を紹介する。
■ばらつきの重要性と対策
佐藤 高史氏 京都大学 情報学研究科通信情報システム専攻 教授
佐藤氏は、自作した解析ツールの結果を用いるといユニークなやり方で「ばらつき」の重要性を語った。「EDA Buzzword Checker Dictionary」略して「EBCDIC」と名付けられた佐藤氏のツールは、過去30年分のDACの予稿集に出てくる単語をデータベース化したもので、3文字以上の単語が約1500万語登録されている。佐藤氏はこれを用いて重要キーワードの登場回数の比較を行った。
例えば、「MASK」という単語と「RTL」という単語の比較。両単語は1995年を境に登場回数が逆転。「MASK」についてはプロセスの微細化に伴うDFMの問題などで、その後2000年頃から再び登場回数が増えるのが見て取れる。(図1) その他、信頼性、低電力関連の比較を見ても、キーワードの動きがその時代の動向や課題を現しているのが良く分かる。(図2、3)
図1
図2
図3
そして最終的に、ばらつき(variation/variability)、低電力(low-power)、信頼性(reliability)の3つのキーワードを比較したところ、最もDACの予稿集に多く登場していたのは、2010年時点では、ばらつき(variation/variability)だった。(図4)
図4
佐藤氏は、ばらつき、低電力、信頼性の3つのキーワードが予稿集中の単語の1-2%を占めており、いずれも重要な課題なのは間違いないとした上で、中でも最も重要なのはばらつき対策と強調。22nm設計に向けたばらつき対策のための重要な技術として、以下の3つを挙げた。
・ばらつきの測定とモデル化
-何をもらい、何を測るか
-ツールへ正しく情報を伝える
・ツール
-ばらつきを正しく扱う
-統計的計算、近似計算
・回路
-ばらつきの観測と適応的自己補償
-規則的な回路構造のより広い活用
また佐藤氏は、ばらつきはFab側の問題という側面もあるが、重要なのはFab側と設計側のギャップをどう埋めるか。はらつきは無くせない問題なので、そこを真剣に考える必要があると語っていた。